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こんにちは、FUNLOGYの山川です。
前回の記事 【AUXとは?ARCとは?オーディオの接続に不可欠なケーブルの選び方】 はお楽しみいただけましたでしょうか。
今回はいよいよスピーカーを購入した後について。「エイジング」のお話をしていきたいと思います。
「エイジング(エージング)」とは、ご自身の環境に合わせたスピーカーを新調したとき、最初に行うべき作業の一つとされるものです。基本的な音響接続をした後で、そのスピーカーがもつ本来の音を再現するために必要な作業とされていますが、実際はどうなのでしょうか?
この記事ではエイジングの方法と効果について、エイジングを行う際に使用する音源の種類について、詳しく説明します。
エイジングとは
エイジングとは、新品で使用されたことのないスピーカーを初めて動かすときに音をなじませるための方法です。製作の工程で使用された接着剤や材料同士の微妙な擦れを、音の振動によって安定したものにするという方法で、スピーカーの慣らし運転とも言えます。
スピーカーはコーンやエッジなどに紙の素材を使用する場合があり、この繊維素材のギザギザしたところがエイジングを行うことで丸みを帯びると言われています。
各部品と素材について、詳しくはこちらの記事がおすすめです。
スピーカーに使われる素材の材質を解説!材質ごとの音への影響も
エイジングは、イヤホンやヘッドホンなどのオーディオ機器全般で行われていますが、近年ではこの工程を行わなくてもスピーカー本来の音が出せるようになっているということで、エイジングが不要であるという意見もあります。
また、スピーカーに使われる素材の種類によっても、エイジングを行う必要がないものもあります。先程のような紙の素材を使用していないコーンなどが使われている場合は、これに当てはまります。まずはエイジングを行う必要があるかどうか、説明書の手順などを確認してスピーカーにあった最適な方法をとりましょう。
エイジングの方法
エイジングの方法はひたすら音を鳴らし続けるというものです。音を出すことでスピーカー自体を振動させ、それによって内部の部品とスピーカー本体をなじませるというのが目的になります。
ではひたすら音を流し続けるのはどのくらいの時間が必要でしょうか。スピーカーの大きさや状態によって違いがあります。また、エイジングを行う際にはどのくらいの音量で音源を再生するのが良いでしょうか。それについて説明します。
エイジングに必要な時間
エイジングに必要な時間は小さいスピーカーで約30時間、大きいスピーカーや木製のスピーカーでは約100時間が目安とされています。あくまで目安となっているので、説明書などに詳細な時間が記載されている場合はそちらに従ってエイジングを行いましょう。
また中古のスピーカーであっても、長期間通電されていなかった場合にはやはり30時間ほどのエイジングをするのが良いとされています。これは長期間通電されなかったことにより、内部の部品が固まっている場合があるからです。
一日中音を流し続けるということが可能な家であれば、1日半から4日ほどでエイジングを行うことができますが、夜中など静かなときには音を出せない場合には、エイジングに時間がかかることを意識しておかなければなりません。
もしくはスピーカーの設置をする前に電源と音源のみ接続し、毛布に包んで防音するという方法もあります。この方法であれば音が外に漏れることも少ないので、一日中音を流し続けても近所迷惑にはなりませんね。
エイジングに必要な音量
エイジングをする際の音量は、自分が普段聞く音量と同じか少し大きいくらいが良いとされています。または、スピーカーの説明書にもエイジングの際に設定する音量についての記載がある場合もあるので、そちらをみて参考にするのが良いでしょう。
エイジングを行う場合は、長時間音源を鳴らすことになるので、近所迷惑や家族の負担にならないような音量で流しましょう。ただし音量が小さすぎるとエイジングの効果が薄れてしまうので、先程のような毛布をかぶせるといった防音方法も検討してみていいかもしれません。
エイジングの効果
エイジングを行うことによって得られる効果は、高音域での音割れがしにくくなるというものがあります。カタログのスペックに記載されている音域のテストは工場の出荷前に行われていますが、1Hz単位では音の調整を行ってはいません。
そのため、初めてスピーカーで音源を再生した際には、特に高音域で硬い印象をもつ音質になりやすい場合があります。このように数字では表現できない「人間にとって心地の良い音」をつくるためには、エイジングが必要と考えられます。
エイジングをすることによって、スピーカーの音量を上げても高音域が柔らかい印象となり、音割れしているような耳に不快な音がしにくくなります。これはエイジングによって、スピーカー内部の振動板などの部品が本体と馴染むためです。
エイジングに適した音源
それでは、エイジングを行うために必要な音源はどのようなものを用意したら良いでしょうか?エイジングを行う目的の一つには、自分の普段聞く音楽を聞きやすくするというものがあると思います。このような目的であれば、同じように自分が普段聞く音楽をエイジング用の音源として利用するのが良いでしょう。
エイジングは長時間音源を流し続ける必要があるため、長時間その音が流れていても不快にならない音源がよいです。その点でも自分が普段聞く音楽は、長時間聞くことができるのでふさわしいと言えます。
エイジング専用の音源もある
普段聞く音楽以外にも、購入したスピーカーでまんべんなく広いジャンルで音楽を聞く予定のある方は、エイジング専用の音源を利用するのが良いでしょう。エイジング専用の音源はピンクノイズとも呼ばれるもので、1Hz単位で収録された音を順番に流すことができます。
このピンクノイズを使用してエイジングを行うことで、スピーカーの再生できる周波数をまんべんなく鳴らすことができます。ポップスなどでは偏りのある周波数で、再生されない音域もカバーできるので、エイジングには最も効果的とも言えます。
スピーカーは構造上、鳴らす音の周波数によって使用されるユニットが異なるので、極端にいえば高音ばかりの音源では低音を担当するウーファーが全くエイジングされていないということになってしまいます。
このようなユニットごとのエイジングを考えると、満遍なく周波数をカバーしているピンクノイズを利用するのがスピーカーの本来の音を再現するのにふさわしいでしょう。
これらのピンクノイズなどは専用の音源も販売されていますが、今はYouTubeや webサイトなどにも公開されているものがあり、そのピンクノイズを使ったエイジングでも効果は変わらないので、ネット上の無料音源を使うことをおすすめします。
エイジングの音を聞くのに疲れたとき
ピンクノイズはエイジングに効果的であるとはいえ、長時間家の中で流し続けているとうるさく感じたり、疲れたりしてしまう場合もあります。
そんな場合は波の音や川の流れる音を流すのもおすすめです。水の流れる音などには楽器では再現できない非倍音成分が含まれており、スピーカーの周波数のエイジングされていない部分をカバーすることができます。
また、このような音源の再生はエイジングのときだけでなく、普段のメンテナンスとしても有効です。普段流す音源には周波数の偏りがあるので、使われていない部分を満遍なく使うことで、スピーカー本来の音を取り戻すことができます。
エイジングで末永く、楽しいスピーカーライフを
いかがでしたか?スピーカーのエイジングについて理解できたと思います。スピーカーを購入されてからすぐに音を聴いて物足りなさを感じている方も、この方法でスピーカーをエイジングさせ、スピーカー本来の音を引き出してみましょう。
それでは、次回もどうぞよろしくお願いいたします。
FUNLOGY
山川