こんにちは、FUNLOGYのカナです。
私たちの生活をより豊かに、より楽しく、より充実したものにしてくれるアイテムとして、「プロジェクター」があります。
今回は、この楽しいパートナーである「プロジェクター」を取り上げ、
- そもそもプロジェクターって何のこと?
- どんな機能があるの?
- プロジェクターの歴史について
- 今後のプロジェクターの歩みはどんなものになるのか
について解説していきます。
★この記事でわかること
- プロジェクターは投影機
- 日本における始まりは1973年
- 世界的には1950年代から存在した
- これからは「触れるプロジェクター」も来る?
そもそもプロジェクターって何のこと? 何ができるの?
プロジェクター(“projector”、「プロジェクタ」とも書かれる。以下、特筆すべき事情がない限りは「プロジェクター」の表記に統一する)という言葉は現在非常によく使われていますし、実際にこれを利用したことのある人もいることでしょう。
しかし、「それではプロジェクターとはどういうものなのか、きちんと説明してみて」と言われると、答えに窮する人は多いのではないでしょうか。また、実際にプロジェクターを使っている人であっても、それがどのような仕組みをしているのかはよくわかってはいないという人もいることでしょう。
そのためここでは、まずは「プロジェクターとは何か」について解説します。
プロジェクターは、ごく簡単に説明するのであれば、「投影機である」といえます。
もっとも原始的なプロジェクターは、
- 鏡
- 小さなライト
- 小さな穴
- 対象物(絵)
- 箱
- レンズ
で作り出すことができます。
たとえば、ティッシュ箱に穴をあけてそこにレンズを置き、ティッシュ箱の中に鏡とライトと絵を置きます。この状態でライトを鏡に反射させて絵に照射すると、壁に絵が映し出されることになります。
このように「光やレンズなどを通して壁に大きな絵を映し出すこと」が、プロジェクターの基本的な原理であるといえます。
ただ、実際に「製品」として販売されているプロジェクターはもっと複雑なものです。
単純な「絵」ではなくパソコンやブルーレイなどを映し出すものですし、種類(構造)も、
- 液晶(LCD)タイプ
- DLPタイプ
- LCOSタイプ
の3つに分けられています。
液晶タイプは、水銀ランプと鏡を使用しています。水銀ランプから出た光を、理科の授業でも習う光の三原色(赤・青・緑)にいったん分解させて液晶パネルを通し、さらにプリズムを利用して映像として映し出すものです。
この液晶タイプのプロジェクターは比較的安価である一方、「真っ黒」を作り出すのが苦手というデメリットがあります。
DLPタイプは、ランプの光と細かい反射型の鏡を利用して映像を作り出すものです。反射した光がレンズによって拡大されることで、なめらかで美しい映像を楽しむことができます。
ただ、ときどき映像に虹色がかった模様が映し出されるのが難点です。
LCOSタイプの原理は、液晶タイプとよく似ています。しかしより専門的で特殊な液晶を利用することにより、非常にクリアで、高い解像度を誇る映像が楽しめます。家庭で使うというよりは、医療やビジネスの場において使われるべきものであるため、非常に高額(50万円~です)。
このように現在のプロジェクターはいくつかの種類が販売されており、自分に合ったものを選びやすくなっています。
しかしかつてのプロジェクターは、もっと種類が少なく、また今よりもっと未熟な技術で作られていました。
次の項では、「プロジェクターの歴史」について解説していきます。
プロジェクターはどんな歴史を歩んできたのか
プロジェクターの歴史はしばしば、「1973年から始まった」とされます。
この1973年は、ソニー(SONY。以降、特筆すべき理由がない限りはカタカナ表記に統一)が初めてのカラービデオプロジェクションシステムを開発・リリースしたことに由来します。
現在は120インチ対応のプロジェクターも多数打ち出されていますが、このころのプロジェクターの有効画面サイズは50インチでした。また、今ではすっかり耳にしなくなった「ブラウン管」を利用したプロジェクターでした。
このブラウン管を利用したプロジェクターは、プロジェクターの元祖とも呼ばれる方式であり、上で挙げた液晶タイプが出てくるまではこれがよく使われていました。
ただこのころのプロジェクターは主に業務用であって、一般家庭に広くいきわたることを目的としたものではありませんでした。このころのプロジェクターは今よりもずっと画像が粗く、小さな文字が見えない……などの問題があったとされています。
その後、1989年にシャープが「100インチまで映せる!」として、VX-100Zがリリースされました。これは液晶タイプのプロジェクターであり、それまでのブラウン管を利用したプロジェクターとはまた性質が異なるものでした。
さらに大きな特徴として、このシャープのVX-100Zは「ホームタイプのプロジェクターだった」という点が挙げられます。つまり、「家で、大画面で、自分1人(あるいは家族)だけで、映像が楽しめる時代」をこのプロジェクターが実現させたのです。
ちなみにこのVX-100Zの値段は、当時の価格で48万円程度でした。現在は、商品にもよりますが、100インチ対応のプロジェクターでも安いものならば1万円程度出せば手に入ります(※もちろん現在でも50万円を超えるものはあります)。
またこのころのプロジェクターは、「画質そのもの」ではなく、むしろ「大画面で映像を楽しめること」に価値があったとされ、とてもではありませんが画質は良いとはいえませんでした。
さらにこの後、ソニーも家庭用の液晶タイプのプロジェクターを打ち出します。これは、日本で初となる「家庭用3板式LCD(3つの液晶パネルを使って、画像を映し出していく方法。これ以前のものに比べて、三原色の表現に優れていて、ちらつきも起きにくい方式)」を搭載したものでした。
やがて三菱やなども家庭用のプロジェクターを出していくことになりますが、2000年代に入るとDLPタイプやLCOSタイプがホームプロジェクターにもよく採用されるようになっていきます。
出典;
オーディオ逸品冠ブログ「ホームシアターの進化を振り返る。プロジェクター編」
https://blog.ippinkan.com/archives/20080604223347/674/
くらテク「4K/HDRプロジェクターのリファレンスにJVC「DLA-Z1」を選んだ理由――麻倉シアター大改革(前編)」
https://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1706/05/news126.html
SONY「プロジェクター」
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/sonyhistory-n.html
プロジェクターの歴史は実は70年ほども前にさかのぼる~歴史に消えたプロジェクター
ここまで「日本におけるプロジェクターの歴史の概要」について解説していきました。
しかし実は、プロジェクター自体は1973年よりもずっと前の1950年代にはすでにあったとされています。つまり、今から70年ほども前からプロジェクターの歴史は始まっていたのです。
ただしそのころのプロジェクターは、「電子ビームを利用して、油膜に画像を描きこんでいく」という形式でした。その後に出てきたブラウン管を利用したプロジェクターも、価格は安いものの画面が暗いなどの問題があったといえます。そのため、これらの方式はやがて歴史の波の中に消えていくことになります。
そしてこれらの弱点を克服した「液晶タイプのプロジェクター」こそが、現在のプロジェクターの基本となったといえます。このためか、現在では1973年のブラウン管式のプロジェクターはともかく、1950年代の「元祖のプロジェクター」が話題に上ることはほとんどありません。
ちなみに最新式であるように思われるLCOSもまた、実は1980年代の前半にはすでにその原型があったとされています。ただその技術は以前はあくまでディスプレイ用のみとして使われていて、プロジェクターへの利用が始まったのは1990年代からです。そしてそれがさらに一般化していったのが2000年代に入ってからであるため、この「2000年代以前のLCOS技術」もまた、それほど積極的には語られていません。
ただ、これらの「現在ではあまり語られることのなくなったプロジェクター」は、非常に重要な意味を持つものです。彼らがいなければ当然現在のプロジェクターは存在していません。多くの人が夢と希望を持ちながらプロジェクターの開発にいそしみ、そして多くの人が喜びと楽しさを持ってプロジェクターを迎えたからこそ、今のプロジェクターがあるのです。
出典:網干和敬「特集:マクロディスプレイデバイスの最新技術と応用 2章 LCOS技術のプロジェクタ 応用」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/68/7/68_512/_pdf/-char/ja
J-STAGE(西田信夫)「高機能なプロジェクターの技術動向」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/67/1/67_1_53/_pdf
未来型プロジェクター! 今後のプロジェクターが歩む未来とは
ここまで、プロジェクターの種類とプロジェクターの歩みについてみていきましたが、それでは「今後のプロジェクター」「未来のプロジェクター」はどのようなものになるのでしょうか。
まだ訪れていない未来のことであるため、どうしても推論を含む話にはなってきますが、最後に「これからのプロジェクター」について考えていきましょう。
2021年の9月に、轟三海株式会社が「Aipc」というプロジェクターの先行販売を開始しました。
これは「未来型のプロジェクター」ともいうべきもので、「映し出されている映像に対して、人がアプローチできる」という機能を持ったプロジェクターです。
たとえばプロジェクターで映し出した模様に触れて移動させたり、タッチ操作ができるようにしたりしたのです。プロジェクターで書類を作ったり、ゲームで遊んだり、手を使ったレッスンを受けたり……ということを可能にしたこのプロジェクターは、多くの人に「新しいプロジェクター文化の訪れ」を予感させるものでした。
今後はこのような「触れるプロジェクター」がどんどん一般化していくものと思われます。また現在はこの機能を搭載したプロジェクターは比較的高価ですが、一般化していくにしたがって、どんどん価格も安くなっていくでしょう。
対応画面のサイズが大きくなったり、プロジェクターのサイズ自体が小さくなったりすることも予想されます。
ほかの家電製品と同様、より安く、より使いやすく、より多機能なプロジェクターがリリースされていくであろう未来が、今から待ち遠しいものですね。
FUNLOGY
カナ