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こんにちは、FUNLOGYのカナです。
プロジェクター選びに欠かせないチェック項目【ルーメン】。プロジェクターの明るさを表す単位ですが、実は近年もうひとつ【ANSIルーメン】という表記が広がりつつあるのをご存知ですか?
ANSIルーメンとは、The American National Standards Institute (ANSI、アメリカ国家規格協会)が定めた、世界共通の基準に基づくルーメンの形です。
この記事ではそんなルーメンとANSIルーメンについて、違いをご紹介していきます。
ルーメンとは?
ルーメンとは何か?
まず、プロジェクターの明るさについて調べていて、初めて【ルーメン】という言葉を知ったという方へ。
ルーメンとは元々、LED照明の明るさを表すため、白熱電球の消費電力の単位であるW(ワット)に代わって使用され始めた単位でした。
アルファベットでの表記は【lm】。
スペック表などの記載では、アルファベットが使われていることも多いです。
なぜルーメンがプロジェクターの明るさを表す単位になったのか?
プロジェクターの多くはLEDランプを搭載しており、このランプの光によって映像を映し出しています。
プロジェクターのルーメンとは、内蔵されたランプの明るさなのです。
基本的にはルーメンの数値が大きいほど明るいプロジェクターだという判断になります。
しかし、この数値の決め方に、ルーメンという表記の困った欠陥がありました。
ルーメンには基準がない?
ルーメンには統一された基準がありません。こんなことを言うと驚かれてしまうかと思うのですが、すべて【メーカー公表値】なのです。
そのためお客様の目線から見ると、
「A社で3000ルーメンのプロジェクターを買った。その後B社で2000ルーメンのプロジェクターを買った。
ルーメン値では確かにA社の製品が明るく見えるはずなのに、なぜかB社の製品のほうが明るい」
という問題が起こるのです。
A社はA社の基準によってルーメンを決定し、B社はB社の基準によってルーメンを決定しているからです。
同社内の製品では比較ができるのですが、他社の製品では比較ができないということになります。
この問題を解決するために現れたのが【ANSIルーメン】です。
ANSIルーメンとは?
ANSI(アンシ)ルーメンとは何か?
ANSIルーメンとは上記に挙げた、ルーメン(lm)の問題を解決するため、The American National Standards Institute (ANSI、アメリカ国家規格協会)が定めたルーメンの規格です。
ANSIルーメン(ANSI lm)では世界中すべてのメーカーが同じ基準に則って光量を測定するため、A社とB社の同ルーメン値のプロジェクターを比較した場合に、明るさが極端に違っているという問題がなくなります。
日本国内では2000年頃から認知され始めましたが、表記が広まってきたのは最近のことです。
実際にFUNLOGYでも2021年の春から、お客様への分かりやすさが最も大切だと考え、ANSIルーメンへの統一を行いました。
モバイルプロジェクター FUNLOGY X-03 の実際のスペックシート。
オレンジの部分がANSIルーメン。
なぜすべてのメーカーやブランドはANSIルーメンに統一できなかったのか?
「そんな分かりやすい基準があるなら、最初からどのメーカーにもANSIルーメンを記載してほしい!」
そう思うのがお客様の気持ちだと思います。メーカーも分かっていないわけがないのに、なぜなかなかANSIルーメンへの統一が進まなかったのでしょうか。
理由はルーメンとの数値の違いにあります。
先ほどスペックシートをご紹介したモバイルプロジェクター、FUNLOGY X-03 。
このプロジェクターはルーメン表記なら1000lm、しかしANSIルーメン表記だと100ANSI lmとなるのです。
ANSIルーメンの数値は、ルーメンに比べて非常に小さくなる傾向にあります。
これはルーメンが一般的に光源そのものの明るさを計測するのに対し、ANSIルーメンは投影面の明るさを計測するという測定方法の違いによるものです。
しかし、ANSIルーメンが広まっていない中で、このように小さな数値を表記していたらどうなるでしょうか?
「このプロジェクターは明るくない」と判断され、多くの方の目に留めていただくことが難しくなります。そのため長い間、ANSIルーメン表記に踏み切れないメーカーがたくさんあったのです。
多くのメーカーは、光源そのものの明るさを記載したり、ANSIルーメンの測定方法で数値を測定した上で、それをメーカー独自の基準でルーメンに言い換えたり、どうにかプロジェクターの明るさを多くの方に伝わりやすいように表現しようとしてきました。
しかし近年、そういった悪戦苦闘をやめ、ANSIルーメン表記を採用する動きが光源そのものの明るさを記載していたメーカーを中心に広がっています。
ANSIルーメン表記が広がった背景
ANSIルーメン表記を採用するメーカーが増えてきた背景には、主に2つの理由があります。
- 他社製品との境界をなくし、お客様により明確な情報をお伝えするため
- 違法セラーの増加のため
それぞれ簡単にご紹介します。
他社製品との境界をなくし、お客様により明確な情報をお伝えするため
こちらは【ルーメンについて】の項目で触れたとおりです。メーカーごとにルーメンの測定基準がばらついていて、お客様が自由に比較できない。そんな状況を解消しようという動きです。
プロジェクターを含む家電製品も、オンラインでの販売が急速に広まり、店頭で実物を見比べていただく機会が減りつつあります。
今や多くのお客様が、ウェブ上のカタログを見比べて、そこに記載されたスペックで製品を選びます。数値の信頼性はこれまで以上に重要になりました。
違法セラーの増加のため
もうひとつ、こちらはできれば多くの方に知っていただきたい問題です。近年、日本のAmazon市場には、非常に多くの違法な製品が出回っていることをご存知でしょうか。
違法な製品とはどういうものかというと、
- 他社の製品の画像を使っており、実物と異なる。
- 嘘の情報で製品を誇張している。
- 著作権に違反するデザインである。
などなど、様々なものが挙げられますが、プロジェクターの場合、一番最初に挙げた【他社の製品の画像を使っており、実物と異なる】ものの出品が非常に多いのです。
これらの製品は、購入すると、見た目も性能もまったく異なるものが届いたり、ひどい場合には何も届かなかったりします。
このような違法な出品を行う人々を【違法セラー】と呼び、Amazonも日々対処に追われているのですが、なかなか減っていかないのが現状です。
違法セラーの見分け方
違法セラーは、とにかくスペックを誇張します。1万円程度のプロジェクターを平気で「4000ルーメン」「5000ルーメン」などと謳いますが、現在の技術では、そこまでの高輝度なプロジェクターを1万円台で販売するのは現実的ではありません。
しかし、ルーメンに明確な測定基準がない以上、これを「嘘だ」と断言できる材料もないのです。
違法セラーはさらに、大量のレビュアーを雇い、報酬と引き換えに数千件のレビューを集めます。もちろん、実際に製品を購入した方によるレビューではなく、サクラレビューです。
違法製品は、
- 圧倒的なスペック
- 大量のレビュー
この2つによって、Amazonで製品を探すお客様の目を引き、購入へと誘導します。
裏を返せば、異様な高スペック、異様な高評価を得ている製品は、違法セラーによる実体のない製品であることが多いので注意が必要です。
「この製品は大丈夫だろうか?」と気になったときは、「サクラ チェック」などと検索すると、サクラレビューの可能性が高い製品かどうかを分析してくれるツールなども見つかります。
ANSIルーメンで違法セラーとの区別がつきやすく
違法セラーがどんどんルーメン値を誇張して吊り上げてしまうため、今や現実的なルーメン値を記載した製品は、違法製品に埋もれてしまいます。
違法製品の多くが中国製の安価なプロジェクターであり、中国セラーによる出品であることから、低価格帯のプロジェクターのルーメン表記は「チャイナルーメン」「中華ルーメン」などと呼ばれ、信用を得ることも難しくなってしまいました。
このような違法製品との区別をつけ、お客様に安心して製品を購入していただくためにも、ANSIルーメン表記に踏み切るメーカーが増えてきています。
ANSIルーメンさえも誇張するセラーは、2022年現在のところ、それほど見かけません。
ANSIルーメンの測定方法
それでは最後に、ANSIルーメンの測定方法について、簡単にご紹介します。
ANSIルーメンの測定方法
- 投写⾯(壁やスクリーンなど)を縦横3×3の9分割にする。
- 9面すべての中心部の明るさを計測して、平均照度(lx)を出す。
-
平均照度(lx)に投写⾯の⾯積(㎡)をかける。
式にするとこのような形です。
ANSIルーメン(ANSI lm)= 平均照度(lx)× 投写⾯積(㎡)
投影面の素地の色による明るさ、反射については、照度計(ルクスメーター)を光源に向けて測定するため考慮していません。
ANSIルーメンでプロジェクターをより身近に
いかがでしたでしょうか。本日はルーメンとANSIルーメンの違いについてご紹介しました。
ANSIルーメン表記が広く採用されることは、プロジェクターを検討されるお客様の混乱を防ぎ、プロジェクターのある暮らしをより身近なものとして感じていただくための大切な一歩だと考えます。
FUNLOGYではこれからも、お客様にとって分かりやすく、安心感の持てるブランドを目指して、様々な取り組みを行っていきます。
何かご意見やご希望、ご提案がございましたら、ぜひこちらのフォームからお送りください。
【ご意見フォーム】
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
FUNLOGY
カナ
コメント(4件)
出川和人様>
コメントありがとうございます。こちらこそ、参考にしていただけて光栄です!
ANSIルーメンをただルーメンと呼ぶ場合もあり、その場合は数値通りの明るさが期待できるので、一概に高ルーメン=嘘とは言えないのがまた難しいところです。
ただやはりルーメン数はプロジェクターの価格に直結しますので、高ルーメン・低価格という場合には注意が必要かと思います。
よいプロジェクターに出会えることを願っております!
カナ2022年10月17日
ルーメンという単位には明確な基準がないんですね。
この記事を見るまで、まさにAmazonで商品比較をしながら「12000ルーメンもあればプロジェクターの明るさとして十分安心できるかな」などとざっくりとした判断をしていました。
あやうく安くない設備投資を根拠なく行うところでした。
とても読みやすく、かつリスク回避に役立つ記事をありがとうございます。
プロジェクターを初めて購入しようする段階の人にはこの記事をシェアしようと思います。
出川和人2022年10月17日
みやび様>
コメントありがとうございます。
記事がお役に立てたようで何よりです!
私自身も初めて聞いたときは「ANSIって何……!?」と混乱しました。
背景を知ると理解がはかどりますよね。
ありがとうございます、またいつでもいらしてくださいませ!
カナ2022年2月12日
大変分かりやすく確かりました感謝申し上げます。
みやび
みやび2022年2月12日